12がつ11にち

 遅延12日。時間取り立て屋に追われている。

 

 会津の法事ではまったく甘さのない(よく噛めばでんぷんとかのアレで甘くなるとかそういうのは別として)粉まみれのおだんごを食べさせられるんだけど、名前がわからないし、"会津 法事 団子"や"会津 法事 餅 まずい"で検索してもぜんぜん出てこない。インターネットでは田舎の風習が美化されがちな印象があるから、そのせいかもしれない。とにかくそういうものがある。2度くらいしか食べたことがないけど、そのうち1度は零下4度の墓前で強風に煽られながら、老人に囲まれて食べた。若いんだからたくさん食べておきなさいと言われてたくさん食べた。口の中がモソモソ、もっと粉っぽいな、サフサフ、サフサフはスフレを食うときの擬音だから違うか。スフレは初めサフサフ後ニチャニチャだ。なんだろうな、座布団を食ったような、座布団とも違うか。とにかく口に粉をたくさん流し込んだような、いや粉まみれ(ただの白玉粉まみれ)の団子を口にいっぱい入れてるんだから口に粉がいっぱい入ってるんだけど、ポケットが粉でいっぱい。言っただけ。とにかく粉がすごい。粉がすごいし味がない。粉と粉を練ったものの味しかない。甘くない。砂糖ですらない。せめて粉砂糖であれ。粉だ。砂糖じゃない。そして固い。固いに決まってるんだよ、だって零下4度だもん。餅って基本そういう環境下で食うやつじゃないもん。凍み餅は別ね、でも凍み餅だって寒いとこで作るけど寒いとこで食うやつじゃないし。八甲田山かここは。豆を数えながら帰れ。死ぬ。口が粉でいっぱいになって死ぬ。凍ったおにぎりか粉まみれの団子か選べ。とにかく会津の法事ではそういうものを食わされる。

 あと鯉、鯉がすごく出る。鯉のあらい(船いっぱいのあらい)を酢味噌でいっぱい食べる。あと鯉こく。あのー、甘露煮なんですけど。お斎で一切れ(そうは言ってもでかい鯉の胴体を輪切りにしたやつを一人一つだ)食わされて、さらに一人二切れくらい包まれてお持ち帰りだ。そんなに食えるか。人間はそんなに甘辛いものをたくさん食えるようにはできてない。あとまんじゅうの天ぷらね。甘脂っこ冷たい。胃もたれの味がする。会津は胃もたれの国だ。粉っぽい胃もたれの国会津。親父の実家がある。